2004年お山歩(番外編)
山名 日付 備考
ホワイトアウトからの脱出 04.7/30 8ヶ月間非常に不自由を強いられてきた白内障との決別の記録

ホワイトアウトからの脱出(04.8/8記)
白内障手術翌日の管理人つい先日(04.7/30)、昨年の暮れから約8ヶ月間にわたって彷徨っていた深いホワイトアウトからやっと脱出を果たした。
ここでホワイトアウトと言っているのは、本当に山で8ヶ月間もガスに巻かれて迷っていた訳でもなければ、鬱やノイローゼで精神を病んでいる状態を比喩的に表現した訳でもなく、実を言うと右目が白内障に侵されてプチ失明状態になってしまい、長期に渡って視界の半分が白い闇の中に閉ざされていたのだった。


右目にまず異変が起きたのは昨年(2003年)の8月下旬のことで、ある朝、目を覚ますと右目の視界のド真ん中に、よくビーダマやスーパーボールの中に入っている模様のような感じの螺旋状の大きな黒い塊がグルグルと回っているのが見えるようになった。

おのPに電話して話してみると、それはたぶん飛蚊症(ひぶんしょう)で、普通はあってもなんでもないんだけど網膜剥離の初期症状の可能性があって、以前に会社の上司が同じような症状で眼科に行ったら網膜剥離が見つかって治療したこともあるので、すぐに医者に診てもらった方が良いという。

網膜剥離を放置しておくと本当に失明するので明日にでも見てもらえと脅かすので、翌日、眼科に行った。眼科にかかっている方ならば毎度お馴染みの瞳孔を広げる目薬を注されて眼底精密検査を受けたところ、眼底には特に異常は見られず網膜剥離の心配はないが、あなたの場合は近眼なので普通よりも早い年齢で飛蚊症になりやすく、また、飛蚊症は加齢による一種の生理的な老化現象で、治療法はないので我慢して付き合って行くしかないという。そんな殺生な!とは思ったのだが、網膜剥離〜失明という危機は当面なくなったので、医者に言われた通り我慢して放っとくことにした。

さて仕方がないので我慢して放っておいた飛蚊症だが、これが日に日にひどくなっていった。古墳考現学会の事実上最後の活動となった昨年10月18日の第20回古墳例会の頃になると、初めは螺旋状の大きな黒い塊だけだったのが、次第に右上の方からアメーバーの顕微鏡写真みたいな模様の半透明の黒い幕が降りてきて視界の半分程を覆ってしまうようになってしまった上、霞み目がひどくなり、車の運転に著しく支障をきたすような極めて厳しい状態になってしまった。これって本当にただの飛蚊症??

秋からは来シーズンを楽しく過ごすための体力作りに大小山山歩に精を出して概ね極めて健康的な生活を送っていたのだが、ちょうど冬至を過ぎた頃から右目の霞みが一段と強くなり始めて急激に物が見えなくなっていった。

年が明けても一向に視力が改善する気配がないので、再び眼科に行って検査してもらったところ、8月の検査の際には確認できなかったのだが、白内障がかなり進行してしまっているとのこと。ただし白内障は仮に早期に発見したとしても薬で進行を止めたりすることは出来ず、唯一の治療法は手術で水晶体を摘出して眼内レンズと置き換えることだけなので、一般的には生活に支障がなければそのまま経過を見て、余程不自由な場合には手術をするのが普通なのだと言う。

えーーっ!?ホントかよ??白内障と診断されただけでショックなのに、薬での治療法はないとか言って、目薬の1本も処方されないで帰されるというのも俄かに信じ難い話である。もしかしてあの眼科はヤブ??

あまりに不安だったので、「お山歩友の会」の会員で私の主治医?の秋田の藤岡先生に電話して聞いてみたところ、白内障に関する眼科での所見は全くその通りで、言われたとおり白内障の治療法は手術しかないのだが、手術の緊急性がないので一般的にはそのまま経過を見て、手術については患者の方で不便かどうか判断して決めるのが普通なのだとか。一応セカンドオピニオンを求めた方が安心なので別の眼科でも診てもらった方が良いが、「白内障は手術すれば九分九厘見えるようになるからさあ、ほかの病気とか障害と違って白内障の患者には確実に明るい未来が待ってるから心配しなくても大丈夫だよ」という話だった。

2人の医師からのアドバイスの通り、しばらく様子を見ることにしたのだが、私の場合まだ30代で一般的な白内障患者の年齢と比べて倍くらい若いせいか、チョット様子をみているうちに加速度的に症状が悪化してあっという間に右目はほとんど何も見えなくなってしまった。

具体的にどんな感じか例えると、右目の前に白いティッシュペーパーを貼り付けて、両目を開けて晴天の屋外を見たのと非常に酷似した状態で、なお且つ白い右目の中には黒い螺旋状のモヤモヤがゆっくりと回転していて、右上の方にはアメーバー状の幕がユラユラと動いているような感じで、非常に気分が悪くなることこの上ない。

3月中旬に「お山歩友の会」会員の高橋さんの結婚式で浜松に行った際には、家族や、事情を知っている高橋さんからも、右目が見えないのに長距離の運転は危険だから電車にした方が良いというのに耳を貸さず車で出かけたら、案の定、行きも帰りも猛烈に目が疲れてひどい頭痛でヘロヘロになってしまった。
正常な左目の見え方(浜松城) 白内障の右目の見え方・実際はこれプラス飛蚊症

特に最悪なのはスキーで、白内障を押して2回ほど出かけたのだが、ただでさえ白くて眩しい雪面が、雪と空間の境目が分からないほどハレーションして景色が真っ白く飛んでしまい、まさにホワイトアウトそのもの。雪面の起伏や凹凸が全く分からず危険極まりない状態になってしまった。

山歩きの場合、登りはあまり不自由はないのだが、下りで距離感が掴めないため足元が覚束ず、蹴躓いたり転倒したりと、やはり極めて危険な状態になってしまい、始めたばかりの「お山歩日記」は3月19日の赤雪山を最後に早くも更新停止に陥ってしまった。結局、昨秋以来60回も通って用意周到に体力作りに励んできた大小山通いもすっかり無駄になってしまった。

不案内な土地で古墳を探しながらの車の運転も超危険行為になってしまったので、「古墳ムーディーズ」も4月7日の更新(3月28日宇都宮探訪)を最後に本格的な更新を停止。

「激渋温泉」は4月11日に暮坂峠〜沢渡温泉を探訪したが、この時は行きも帰りも弟の車の助手席に座りっ放しだった。

「地産地消の楽しみ」だけは基本的に家の近所で野草を摘んできて料理するのがメインのページなので問題なく更新を続けたが、車の運転は足利近辺ぐらいが精一杯なので苦し紛れに「焼きそば屋巡り」を思い付き、怪我の功名で極一部の焼きそばファンの人たちに好評を頂いているマニアックなコーナーを作ることができた。

こうなると後は一刻も早く手術ということになるのだが、当初は5月の連休明けを考えた。というのは半年以上前からゴールデンウィークには秋田の藤岡先生と尾瀬の至仏山に山スキーに行く約束になっていて、藤岡先生には白神山地での渓流釣りとか鳥海山の山スキーとかでいつも一方的にお世話になりっ放しなので、目が見えなかろうがなんだろうが、今回はなんとしても責任を持って私が案内しなければと思っていたのだ。

しかし悲壮な覚悟で準備していた山スキーは、連休の数日前になって私の車のエンジンが走行中に突然プスッと音を立てたまま永遠の眠りに着いてしまい、中止せざろう得なくなった。この目ではもはやスキーがどうにもならないのは既に2回行ってよく分かっていたので、車が壊れて正直な話、少しホッとした。

そして連休明け。セカンドオピニオンを求めた方が安心との藤岡先生のアドバイスに従って、2,3年前に開業したばかりの別の眼科医院に行ってみた。前の眼科がどちらかというと説明不足で患者として少なからず不安が残ったのに対して、今度の医者はコチラがひとつ質問すると、こっちがうまく表現できない部分も察して先の先の先くらいまで詳しく説明してくれて極めて親切である。藤岡先生から伝授された「医師の目から見た良い医者の見分け方」の条件にもいろいろと合致している点が多いと感たので、いかにもやる気に溢れている若い先生に期待して新しい眼科に乗り換えることにした。

で、すぐに手術、と思っていたら今まで知らなかった新事実が発覚した。白内障の手術そのものはたいして深刻ではないのだが、術後約2週間は感染症や合併症に対して特に注意が必要なため手術の傷口が回復するまで洗髪・洗顔禁止で、入浴は首から下のシャワーのみ可。汗が目に入るのも好ましくないので汗もかかないように注意が必要で、トイレで息張ったり、重い物を持つのも不可。手術後約1ヶ月間は基本的に何もせず、外出を控えておとなしくし家でボーッとていなければならないという。

知人の皆様はご存知の通り日本でも有数のヒマ人である私でも、なんぼ何でもやることがあって、2週間の安静を含む1ヶ月の療養生活は厳しい。特に6月はすることが結構多い月なので、手術は早くて6月下旬かなという感じになって、またズルズルと予定が遅れていった。

17万キロで廃車になった三菱ブラボーゴールデンウィーク前にエンジンが壊れた車はどうなったのかというと、連休明けにディーラーで見積りを出してもらったところ、走行中にタイミングベルトが切れたためシリンダーヘッドとエンジンバルブが完全に逝っていてエンジンの上半分を丸ごと交換しなければならず、修理すると費用が約17万円かかるという。丸10年で17万キロも乗って外装も内装もボロボロのポンコツに今さらそんな高額な修理代をかけるのは金をドブに捨てるに等しい行為なので迷わず速攻で廃車にした。

車がないと何をするにも不便極まりないド田舎に住んでいるので、白内障よりも車の方がいきなり優先順位が先になってしまったのだが、後継車選びはかなり難航して、これがまた白内障の手術を大きく遅らせる一因となった。車探しは、金がないので当然中古車で、車中泊を伴う長旅や山とかスキーとかに使うことが多いので、@軽の箱バンA4WDBMTC高年式・低走行車D低価格E白以外のボディーカラー、というのが条件。

高年式であまり距離を乗ってなくて安いなんていう都合のいい中古車があるのかというと、4ナンバーの商用車の場合、短期リースアップ車と言って、盆暮れの配達が忙しくなる時期にだけ運送会社などが短期のリースで使った車が、時々安い値段で出回ることがあるので、そこに狙いを絞った。ただし、リース車の場合、色はほとんど100%白ばかりで、Eの白以外のボディーカラーという条件に合う車がなかなか見つからなかった。白の箱バンでは、まるっきり米屋か酒屋の配達もしくは電気工事店の車みたいで、さすがに嫌なのだ。

スバル・サンバー4WDネットと電話での問い合わせで関東一円を探したが白以外の車が見つからず、白内障の手術もそろそろしなければならないし車探しは手術後かと諦めかけていたところ、相模原のスバルから良い車が入庫したという連絡が入った。平成15年11月登録のスバルサンバーの4WD・MT車で、走行僅か2千キロ、色はシルバーで、新車での見積もり価格よりも約30万円安く、条件的に申し分ない。足利からはちょっと(かなり?)遠いけど、それに即断した。

6月下旬、相模原に車を引き取りに行った帰路、ちょうど道筋にある狭山茶の友野園さんに立ち寄って写真を撮らせてもらい「地産地消の楽しみ」を更新。帰り道、交通量の多い16号沿線の片目運転はかなりしんどかった。

車に話がそれてしまったが、なんだかんだあって7月。2ヶ月ぶりに眼科に行き、やっとこすっとこ手術の予定を組むところにまで漕ぎ付けた。

手術は日帰り入院で、朝9時に病院に行き、まず午前中は定期的に数種類の目薬を点眼。昼頃から点滴を受け、午後1時半頃に手術室に入って30分程で手術終了。実際に手術に要した時間は正味15分くらいだった。その後病室に戻って引き続き点滴を受けながらしばらくベッドで安静を保ち、先生の診察を受けて5時くらいに退院。手術前に緊張のため37.5℃の熱を出してしまうなど小心ぶりを露呈してしまったが、案ずるより産むが易し。手術の中で一番痛かったのは腕に刺した点滴の針だった。

そして現在手術後9日が経過。手術そのものよりむしろ術後3,4日がヤマなのでくれぐれも安静するようにと言われていた術後の回復もいまのところ極めて順調で、白い闇に閉ざされて何ひとつ見えなかった右目の視力は裸眼で1.2にまで戻った。ただし、水晶体を人工の眼内レンズに入れ替えたので完全に老眼と同じ状態になってしまい近くの文字はほとんど読めず、左目が近眼で右目が老眼というアンバランスな状態なので、視力が安定して新しい眼鏡を作れるようになるまでの間(1〜2ヶ月間)はかなり辛い感じ。また白内障になる前から発生していた蚊飛症は、発生部位が硝子体の奥の方で白内障とは無関係なためそのまま残り、相変わらず浮遊霊のようにユラユラと視界の中を邪魔臭く行ったり来たりしていて、何もかも元通りという訳ではないのだが・・・。まあ、以前のように距離感を失くして車のキーが差し込めなかったりボールペンのキャップを嵌められなかったりといった些細なことでいちいちイライラしていた不便な状態は解消されたので、いろいろ不満はあっても我慢のしどころなのだろう。

白内障の原因について、複数の知人から指摘されて自分でもハイイロというよりクロなのでは?と疑っていた糖尿病については、内科で尿検査してもらったところ幸運にもシロという結果だった。まあ血糖値を調べた訳じゃないので完全にシロとも言い切れないかもしれないけど。
眼科の先生の話では、アトピーの人は若い年齢で白内障になるケースが比較的多く見られるので、あなたの場合もおそらくアトピーによるものでしょうということであった。アトピー持ちなのってホントにウザイ。

それにしてもこの夏の猛烈に暑い時期に2週間の洗顔&洗髪&入浴禁止は、無類の風呂好きの私にとってまさに地獄の責め苦で、あまりに辛すぎる。医者は2週間過ぎても1ヶ月間は温泉とか行っちゃだめだよとか殺生なことを言ってるし。風呂はいりてー。

現在、既に1週間を越える自宅での療養生活ですっかり退屈しきっているので、ダラダラと闇雲にキーボードを叩いてしまった訳だが、このところトップページのレイアウトをチマチマといじってみたりタイトルを微妙に変えてみたりと小手先だけの姑息な更新を続けてきたヤマポン通信改め「ヤマポン総研」も、9月にはフィールドワークを再開して徐々にまともな更新が出来るように前向きに善処する所存ですので、懲りずに御訪問いただけると幸いです。活動再開後の最初の更新は「激渋温泉」を予定!?
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