2004年お山歩A
山名 山域 山行形態 日付 備考
根本山(1199m) 安蘇山地 雪の低山 04.1/5 「川講中」冬の根本沢コース・丸14年ぶりの根本山

「川講中」冬の根本沢コース -丸14年ぶりの根本山-

不死熊橋〜根本沢〜根本神社〜鎖場〜山頂〜中尾根コースで下山

日課?の大小山に20年来の山仲間のK君と「お山歩」に出かけて山頂で休んでいると、K君が「1月1日の新聞にさ、面白い記事が載ってたんで持って来たんだ」と、20年前からずっと使っているボロボロのタウチェのデイパックから新聞を取り出した。それは下野新聞の正月版で、「山に登ろう」という題の立松和平のエッセイと、見開きに「栃木百名山マップ」という特集記事が掲載されていた。

高校を卒業後足利を離れ、各地を転々と渡り歩いて去年約20年ぶりに栃木県に戻ってきたK君は、数えてみたらこの百山のうち10座しか登ってないので、取り敢えずこれを全部登ってみたいと言う。
私は別に栃木県への郷土愛に熱く燃えているわけでもなんでもないので、そんな県内の山ばっかりシコシコと登るという案には俄かに賛成できないが、まずは近場から徐々に高い山にステップアップしていくというのは体力的にも負担が少ないので、トレーニング法として無理が無く現実的で良い考えではある。
数えてみるとその百山のうち、私は36座登っている。K君と大小山から見える記事中の山を指差しながら眺めているうちに、じゃあ明日、まずは手始めに根本山に登ってみよう、という話になった。
前回私が根本山に登ったのは1990年1月4日なので、今回は丸14年と1日ぶりになる。

翌朝早く、あまりの寒さにたじろぎながらK君を家まで迎えに行くと、前日の大小山と全く同じ出で立ちで出てきた。靴はホーキンスの安っぽいトレッキングシューズで、スパッツも用意していないと言う。雪だってあるかもしれないし、沢沿いのコースで大小山とはだいぶ違うから装備もそれなりにねと言っておいたのに、人生の半分近くを主に長野県で暮らして来たK君には、寡雪地帯の1000m程度の山は大小山とたいして変わらないくらいという認識しかできず、今ひとつピンと来ないらしい。

目指す根本沢コースの基点になる「不死熊橋」は群馬県側の桐生川の奥にある。最奥の集落の「石鴨」の手前辺りから一部テカテカのアイスバーンになり始め、FRでノーマルタイヤの軽ワゴンはあっけなく左右にテールを振り始めた。メーカーにも部品が無いので車検はもう通せないとディーラーに見放されて1年前に泣く泣く廃車にしたレオーネバンだったら、四駆な上にスタッドレスも履いていたのでこの程度のアイスバーンは屁でもなかったのに・・・ 嗚呼、あのポンコツ車が懐かしい。結局「石鴨」集落の少し先に車を止めて、滑ってすっ転ばないように注意しながら凍結路を歩き始めた。

根本沢コースは沢の左右にコースを変えながらほぼ沢に沿って一部かなり険しい隘路が延々と続いていて、予想通り雪がかなり吹き溜まっている箇所が多い。この季節、特にいやらしいのは、沢近くの水がかかる石が凍っていてツルツルと滑ることだ。沢を渡る時とルートが岩場の高巻きになっている場所が要注意で、特に高巻きは滑って落ちたら「ボキッ」とか「グシャッ」とかいやな音を聞いて、運が悪ければ「また来世」となるような地点が10ヶ所程度はあるのでいきおい慎重になる。雪の下の石も凍っている可能性があるので一歩一歩足元を探りながら注意深く歩く必要がある。

根本山は江戸時代中後期に関東一円から信越・奥州にまで信仰を集め大いに栄えた信仰登山の山で、沢もかなり細くなってくると「十丁」とか「川講中」、石段を供養した「石階供養」などの文字が彫られた石碑が目立つようになる。「川講中」という言葉からして、このコースを詣でた昔の人にとって、「川」を遡るこのコースそのものに何か特別な意味があったものと察することができる。また、「大天狗・小天狗」と刻まれた石碑も2,3あったので大小山の「大天狗・小天狗」とも何か関わりがある同じ系統の山岳信仰なのかもしれない。

古びた石段を登ると石灯篭や崩れかけた石垣が残る籠り堂跡に出る。この先、沢は詰めの様相が強くなり、じきに凍った滝にかかる古びた鉄梯子が現れる。滝の落ち口も凍ってツルツルなので要注意個所だ。程なく右上の方に一見東屋のような鐘楼と根本山神社が見えるので、やはり凍った岩場を鎖を頼りに慎重に登る。

狭い岩尾根の上に危うげに建っている根本山神社は14年前に来た時も既にボロボロだったが、相変わらずボロボロで、これだけ古いと果たして14年間で老朽化が進行しているのかどうかもわからない。神社の床は今にも踏み抜けそうな隙間だらけの古板で、足元の断崖絶壁が透けて見えて若干恐い。ポンポンと拍手を打って早々と退散する。

このコースの第一の白眉は根本沢だが、根本神社から先は第2の白眉の鎖場に突入する。K君はこんな難場に長居は無用と、1本目の鎖を登ると後続の私を全然待たないで一人でどんどん先に行ってしまい、呼んでも聞こえないのか返事が無い。狭い岩尾根に10本以上かかる鎖場はかなりハードな上に寒さもかなりのもので、フリースの手袋が握った鎖に凍り付いて離れない。私は鎖場の途中で完全に息があがってしまったので、先に消えてしまったK君には構わず休み休みゆっくりと登った。

ゼイゼイ息を切らせて鎖場を登り切るとじきに一見山頂のような場所に出て、K君がタバコをくゆらせて待っていた。説明看板が立っているが、ここはまだ山頂ではない。一旦やや深い鞍部に降りてまた登り返し、標識に従ってだらだらだらだらと歩いていくと樹林の中の展望の利かない平凡な山頂に着く。根本沢コースの変化に富んだ面白さに対してこの山頂の凡庸さは実に対照的だ。

14年前にはここからさらに十二山から熊鷹山へと馬蹄形に縦走したのだが、今回はまだ未踏の中尾根コースを下ってみた。しかしこの中尾根コース、約1時間で下山できるという時間的なメリットを除けば、展望のほとんど利かない貧弱なヒノキの植林の中をひたすら単調に下るだけという最高に詰まらないルートで、もしこのコースで登ったら、根本山は何の取り柄も印象もないさぞかし詰まらない山なことだろう。

K君は今回の根本山には非常に満足した様子で、近いうちにまた根本沢コースを登りたいとのこと。今度はヤシオツツジが満開の新緑の季節にぜひまた再訪してみたいものである。

標識はくどいくらいマメにある コースは道と沢が半々くらい
何回も沢を横切る 累々とした岩を乗り越える箇所もある
かなり高巻いている地点も 「十丁」の石碑
この滝の高巻きは岩場が凍っていてかなり危険だった 古い石段と両側に杉の並木が現れる
石灯篭 篭り堂跡付近
崩れかけた石垣 凍った滝に掛かる鉄梯子
鐘楼 根本山神社
この先狭い岩尾根に10数本の鎖場が続く 鎖場の中間付近
鎖場の途中から対岸の尾根 1199m・根本山山頂・私(左)とK君(右)

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